| 『不妊症に対する漢方薬』 はじめに。 今年よりむつごろう薬局では、静岡県内において、富士山を望む東部地区、南アルプスを一望する中部地区に、合わせて5反(1500坪)のむつごろう薬草畑をはじめました。 目的は、「お客様が良くなっていただけるために、漢方薬の質にこだわり、無農薬、有機肥料により漢方薬を畑から研究する」ためです。 私たちが薬草を自分の手で作りはじめて、今年で7年目となります。自分の手で作り上げたものは、柴胡2回、芍薬1回、黄2回、当帰2回、地黄1回です。畑から、自然の楽しさ、厳しさを学んできました。また、漢方相談をはじめて13年がたちました。現場では、様々な相談から、人の生き方、考え方を学びました。そして多くのことを考えさせられました。今回はその中から、「不妊症」について、畑と合わせてお話をさせていただきます。 「不妊症」は、私がもっとも得意とする分野であります。今年は、8人が妊娠されました。昨年は6人。3年前は6人。4年前は4人と、平均して、約6人の方が妊娠されています。 もちろん、私たち薬局にいらっしゃる方々は、病院の治療を2~5年は行っている比較的難しいと言われた方々がほとんどです。そして、現在も約20名近い方が漢方薬を服用して頑張っております。 ではどうして漢方を使って高い確率で、お子様ができているのでしょうか。一言で言うと、漢方薬で、身体が自然のバランス(本来自分が持っているバランス力)を取り戻せたと言うことだと思います。言いかえますと、現代の若い方が、あまりにも自然の姿からはずれてきているようにも見えます。 話は、畑にとびますが、柴胡という生薬があります。成分はサイコサポニンです。柴胡は、2年ものが質が良いものとされていましたが、サイコサポニンの含有量は1年ものの方が多く、国産での流通は、ほとんどが1年ものです。その柴胡の種を自分でまいた時、1年ものから収穫した種より2年で取れた種の方が、発芽率が大変良かったことをおぼえています。また真っ赤でおいしそうな種をつける人参も、4年以降につける種からの発芽率は高いと聞きました。 このことから考えますと、不妊治療のポイントは、まず、お母様の体調を整え、丈夫な卵をつくることです。子供を作る目的は自分のDNAを次の世代に残す事であります。よって、子供が死ぬ確率が多かった時代や、その確率が多い国では、子供をたくさん作ります。畑でも敵が多い雑草たちは、何とか自分の種を残そうと、必死です。手を変え品を変え、抜かれまいと、生薬そっくりに、その型を変えてきます。それが自然の姿です。また、人間は、自分の身に危険を感じると、まず、自分の命を守るため、子供を作ることを後回しにします。それが、ストレスによる、生理不順や不妊症と考えています。ですから、いつも心はおおらかであって、せっぱつまったものではいけないのです。 バランスを取り戻し、丈夫な卵を作るための方法をお話いたします。漢方の考え方の中に、気、血、水というものがあります。気とは、西洋医学で言う、自律神経の働き。血とは、血液やホルモン。水とは、水分代謝と考えてもよいと思います。この気と血と水が、全身を滞りなくめぐっている時が、健康と言えます。この気、血、水のめぐる力をつけ、また滞りを除き、また、めぐりすぎを押さえたりすることによってバランスをとり、その結果、子供ができるのです。 「妊娠とは苗床に種をまくが如く」と、私の師匠は言っています。それでは具体的な方法を、畑とリンクさせながら、お話し致します。 ポイントその・ 苗床は暖かく、冷え性を改善毎年2月に畑の準備が始まります。2月の朝5時は真っ暗で、トラックのヘッドランプのみがたよりです。 寒さも一番厳しく、長靴の下に厚い靴下をはいても足は凍りつきます。その中で、堆肥にスコップを入れると、蒸気が上がります。堆肥の中は多くの良い苗により、発酵して熱を作っているため、手を入れてみると、ポカポカします。その堆肥をトッラクに積んで、たっぷり畑にまきます。そして、多くの良い苗が畑全体にいきわたり、畑がホカホカ暖かくなってきます。そして種は、発芽しやすくなります。 苗床を暖かくすることの意味は、お母さんのお腹を温め、血液循環を良くしてあげることなのです。温め血行が良くなると女性ホルモン(卵胞、黄体、両ホルモン)のバランスが正常化し、しっかり排卵ができるようになり、黄体ホルモンにより、基礎体温の高温期上昇が安定してきます。 漢方処方では (イ)当帰四逆加呉茱萸生姜湯 「手足厥寒、脈細ニシテ絶エント欲スル者、若シ其ノ人、内二久寒有ル者。」(当帰、桂枝、芍薬、大棗、甘草、細辛、木通) 当帰は、血を和し、寒を散じる。桂枝湯から水気の動揺を治す生姜を除いて、大棗を倍加し、当帰を加え身体を温めて利水作用を促す細辛と、水気を通利する木通 を加えたものが、当帰四逆湯である。 暖めて、表の寒を除く、細辛、当帰が配合され、大棗、芍薬は当帰を助け、表の虚寒により血行が妨げられた状態を改善する。更に諸症状が一層激しく寒冷症状の甚だしい状態では、生姜を入れ脾胃の気と水を温散下降し、血分を和す呉茱萸を加えて、酒煎し本方とする。しもやけを目標とする。 厥寒とは、患者自ら寒冷を覚えるもので、また同処方は、疝気と呼ばれる、局所貧血による腹痛で、元来冷え症の者が寒冷によって症状が増悪し、下腹部が突っ張るように痛むものに良い。 (ロ)当帰芍薬散 「腹中きゅう痛ス」(金)(当帰、芍薬、川、茯苓、朮、沢瀉)
本方は、血行が悪いために引きつり痛むを治す芍薬に、陰性の血を治す当帰、川。そして、水気を順通する茯苓。朮に乾燥を茲潤する利水の剤、沢瀉が加わったもの、また本方証の腹候の異常は、右側に多く見られる。 よって、水血相結びて腹中がひきつれて痛むが病位は太陰証なので症状はあくまでも静的なものである。 症例・ 32才の女性。身長(159cm),体重49kg。2年間子供ができない。1年前より、総合病院で治療中。病院では子宮筋腫、ビラン、卵巣機能不全。両卵管が通 じていないと言われた。生理不順が(遅れる30~40日)があり、高温期37℃14日。生理5日。2日まで多く、出血にはかたまりが多く、生理痛がある。舌はのっぺりして無苔。生理前にイライラあり。人に気を使う性格で、めまいあり。雨の前や陽気の変わり目で頭重が起こる。甘いものが好き。また20才より血糖が高く120 以上ある。父親は糖尿病。 顔色は貧血して蒼白、故小倉先生 望診の果物顔。(青白い幾分黄ばんだ、ロウ人形のごとく透き通るような冷えっぽい顔つき)砂糖類たっぷりは、体の中を冷やし、お腹は、冷えて血行を悪くし、内臓の筋肉を縮め、卵管の通りが悪くなり、冷えによって卵巣機能まで不全になったと考えられる。吉益南涯の言う、「当帰四逆湯、当帰建中湯、当帰芍薬散の三方を比較して、病はこの順で深く重くなるとし、当帰芍薬散は、貧血した顔色で、腹中に物があるようだが、按じてみれば、塊ではない。水気が停滞したもの」である。また舌は、太陰病をうかがわせ、まさに陰性の血。痛みも静的で、ご主人様と協力してみると、血の圧痛点もへその右下に、下に響く痛みがあった。当帰芍薬散を服用すること1ヶ月。生理が月2回(3日と7日間)きて、その後2か月で、妊娠された。その後は、2人目を考えて、ご来店されている。 ポイントその・ 苗床は栄養豊富に......胃腸を丈夫に。
畑では、1反(300坪)に約5~6トンの堆肥を入れます。この堆肥には牛糞以外にも、籾殻、落ち葉、魚のかすで発酵して、栄養たっぷりです。この栄養を吸って、今年も1500本の当帰がグングン生長しています。生薬の根はお母さんの胃腸にあたります。 胃腸を丈夫にすることは、吸収を良くして栄養をしっかり卵に運ばせるためだけではなく、下痢気味はお腹を冷してしまい、便秘は腹の圧迫によりお腹全体の血液の流れを悪くしてしまいます。 漢方処方では (イ) 小建中湯 「虚労裏急、悸シテ シ、腹中痛ミ、夢ニ失精シ、四肢シ、咽乾キ、口燥ク、男子黄、小便自利。」(桂枝、芍薬、生姜、大棗、甘草、膠飴) 貧血傾向で、疲れやすく、食欲無く、のぼせ、自汗なし。薄い腹壁に、二本棒と呼ばれる腹直筋の異常緊張がある。また冬は、手足が冷え、夏は逆にほってて苦しい。冬口唇がひび割れる。体液が不足していて水分を好む。 (ロ)半夏瀉心湯 「心下満シテ痛マザル者」「嘔シテ腸(はら)鳴リ、心下痞ス。」(半夏、黄、乾姜、人参、黄連、大棗、甘草) 小柴胡湯の生姜を乾姜に代え、柴胡の代わりの黄連としたもの。心下痞、痞 を治す黄連・黄、水の動揺による嘔を、温めながら治す半夏・乾姜が中核となり、腹鳴りは、胃腸の血行を機能の減弱であるから、大棗・甘草・人参で治す。胃中が冷え、消化機能が衰え胸もとが痞え、食欲も無いという自覚症状が心下痞である。心下に痞えた気が上に動けば、嘔になり、腹で動けば腹鳴となる。 (ニ)理中丸 「胃上寒有リ。」(人参、甘草、朮、乾姜、蜜) 肺中冷肺を含む胸郭内諸内臓器の冷え。(この部分の冷えは人間の生命活動に重大な支障をきたす。)の甘草・乾姜に胃腸の弱い者を補う人参と、水毒を小便に流す朮を配したもの。本方証は、全身的に虚寒の状態、身体を四肢に寒冷感があり、胃中の冷えは停水のため、膨張感があり、水が下に行けば水瀉性の下剤となる。暖水を好む。冷えて、胃の消化機能が衰えているので、、唾が多くる。生唾が口中に溜まって悪心する者、胃がさし込んで、左肩より胸のが痛む者にもちいられる。 ポイントその・ 苗木はふわふわと柔らかく......血を取り除こう。
畑は、種を蒔く前に、いかによく耕すかがポイントです。くわで深く、そして耕運機で3月中まで、くる日もくる日も耕します。よく耕すことによって、土は細かく団粒化し、ふわふわになってきます。もちろんふわふわの土の中では、発芽しやすくなります。お母さんの子宮内膜が硬いと、卵ははね返ってしまい、着床できません。お腹のまわりのふる血の滞り(血)をとり除き、卵をしっかり、つつみ込めるようにしなければなりません。そこで使用するのが次の3処方。 漢方処方では (イ)桂枝茯苓丸 「(血)妊娠ヲ害ス。」(金)(桂枝、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬) 顔色は赤茶けているがキメ細かい。 (ロ)温経湯 「婦人、下痢シテ止マズ。暮ニハ即チ発熱シ、小腹裏急シ、腹満シ、手掌煩熱シ、唇口乾燥シ、血少腹ニ在アリテ去ラズ」(金)「婦人、少腹寒エテ久シク受胎セズ。或ハ崩中(子宮出血)或ハ、月水過多、或ハ、期ニ至ルモ来タラズ」。(呉茱萸、当帰、川、芍薬、人参、桂枝、阿膠、牡丹皮、生姜、甘草、半夏、麦門冬) 本方中には、気の異常を治す桂枝・甘草、ひきつり痛み、腹直筋の異常緊張を治す芍薬・甘草、胃を温め補う生姜、呉茱萸、半夏、人参。血の枯燥を潤す、阿膠、麦門冬。血を破る牡丹皮・川が有り当帰は新血を和す能力がある。本方は、太陰病の虚証で、血の証があり、皮膚甲錯し、唇口乾燥、手掌煩熱、上熱下寒、月経異常、帯下し、(やや動的の熱候のるい)を目標とする。 (二)桃核承気湯 「熱膀胱ニ結ボレ、其ノ人狂ノ如ク・・・少腹急結ス。」(桃仁、桂枝、大黄、芒硝、甘草) 桂枝、甘草は、実証血を破る桃仁・大黄と、裏実を破り二便を利す大黄・芒硝を補佐する形になっている。瀉下する時期を失して邪気が血分に波及し、下腹部に結ばれて、血気行らず停滞して血を造り、うっ血性の循環器障害となり、また血は上衝して頭脳を刺激して人をして狂の如くならしむるのである。実証血を溶かすのが桃仁であり、洗い流すのが大黄で塩類下剤の芒硝は、血を軟らかくする力をもつ。腹力は充実し、左臍傍の低抗圧痛、舌は乾燥し、黄苔、暗青色で歯こんあり。便秘で出血傾向、のぼせ冷え、月経異常、自汗がある。興奮、不眠、健忘等の神経症状がある。 ポイントその・ よい環境のもとでは、よい生薬が育つ。......ストレス(気滞)を取り除こう。
現在1500本の当帰が生長している。函南の畑は、そこで呼吸するだけで、全身がリラックスし、元気が出てきます。また、おならや、ゲップがよく出ます。自然に肩の力が抜け、気の滞りが良くなるからでしょう。子供ができないというストレスは、大変つらいものがあると思いますし、周りからの言葉や、遅く結婚した友達に子供ができた事などで、どんどん自分を追い込んでしまいます。ストレスは、自分の身体を緊張させ、肩に力が入るように、知らない間に、お腹も緊張させ、硬くなり、血行が悪くなります。私の相談でも何人もの方が涙を流しました。肝にいろんなことがたまっていたのでしょう。すべて吐き出した後、子供ができる場合が多いのです。又、子供がいない生活もまたいいかな!。と思ったその後すぐに妊娠されたケースも2例ほどありました。 漢方処方では (イ)柴胡桂枝乾姜湯 「己ニ汗ヲ発シ、復タ之ヲ下シ、胸脇満シ、微結シ、小便利セズ。渇シテ嘔セズ、 ダ頭ニ汗多ク、往来寒熱シ、心煩ス。」(傷)(柴胡、桂枝、乾姜、樓根、黄、牡蠣、甘草) 柴胡剤中で一番虚していて、最も頻用される漢方である。胸脇間にうっ塞した邪気は(柴胡)上衝し、首のあたりから頭にかけて発汗傾向となり、熱気は上衝して、心煩という、精神症状が強い。疲労 困 し気ばかりあせって、上衝し何とも不安げな蒼白な顔色の者が多い。上衝するから口唇は乾燥し(樓根)、尿利は渋滞し、のぼせ冷えがある。(桂枝・甘草)が気の上衝を鎮める。貧血気味の土気色の顔色で、臍上悸がある。胃部拍水音、汗の異常は甘草・乾姜が裏寒を温める結果治するのである。 (ロ)柴胡加竜骨牡蠣湯 「胸満煩驚シ、小便利セズ。語シ、一身尽ク重ク、転側ス可カラズ。」(傷)(半夏、大棗、柴胡、生姜、人参、竜骨、黄、桂枝、茯苓、大黄、牡蠣。) 本方証は、筋肉質、胴太短、胸脇心下の緊張強度、少陽病実証に位する大柴胡湯証に、神経症状が加わったもの。胸脇苦満が著明で物事を気にしやすく、一つの質問に対して、いくつもの回答が出て判定統一できず.感覚的反応つまり物音や光に対して、過大な反応を示し、気苦労が多く、悪夢を見がちで不眠傾向がある。肉体的には気の上衝にからんで,尿不利で、この水分が表に浮かんで、全身が重く、体を動かすのが、億劫である。水飲の凝結を軟らげて水気を除く牡蠣は、竜骨と組んで、動悸、不眠等の神経症状を治し、気の上衝を主る、桂枝は水の上逆を主る茯苓と組んで、気逆上衝の気を降ろし、水道に従って去らしめている。本方は、先ほど述べたように、症例・のご主人様に使用した薬であります。精神面の改善により、身体に余裕ができ、男性ホルモンが活発化し、子供を創る機能が高まったと考えられます。 ポイントその・ 水のあげ過ぎには注意......水毒体質を改善しよう。
3年前の梅雨に入る前の4月から5月にかけて本来なら、雨の少ない時期なのですが、雨の多い日が続きました。その年の当帰はだいぶ生長が悪かったのを覚えております。理由は、植物にとって雨の少ないこの時節、地下水を求めて、根はどんどん地下に細い根を伸ばします。根が伸びたころに、雨の時期となり、水と土中の栄養を一気に、根に取り入れるのです。根は膨らみ、大きくそして長く立派な根となります。その後は、夏のまぶしいくらいの太陽の光を浴び、どんどん栄養を根に蓄えます。以上のことからわかるように、水が多かったために、根は伸びる必要が無かったのです。大切なのは、水が必要な時期に雨が降ることです。身体について言うと、必要な場所に、水分が無ければいけません。もう少しわかりやすく説明するために、症例を上げてみます。 症例・ 28才の女性。身長151・、体重42.5・「飛紋症」のご相談でご来店。2人目の子供を創ろうとしているがなかなかできない。できれば一緒に、ということであった。性格は心配性で、不安感がいつも有り、動悸がする。立ちくらみがあり、両耳で、耳鳴りがキーンとひどい。肩こりがあり、生理は、レバー状のかたまりが混じる。以前、子宮内膜症があり現在、アミラーゼと血糖が高めである。苓桂朮甘湯を服用して10日後、夜間尿が1回となり、ドライアイであった目からは、右のみ涙が出るようになってきた。その7日後、視力が上がり、1ヶ月後に妊娠された。本人も予想外で、大変驚いていた。 漢方処方は 苓桂朮甘湯 「心下ニ逆満シ、気、胸ニ上衝シ、立テバ、則チ頭眩ス。」(傷)(茯苓、桂枝、朮、甘草) 吐下の後、裏が虚して、反動として気の上衝が起こり、水気もこれに乗じて、頭眩を現わし、逆上、心悸亢進を起こすようになる。気につられた水毒は胃内停水となり尿不利の症状を呈する。桂枝・甘草は気の上衝を鎮め、茯苓・朮で心下の水をさばき、ともに尿利に導くものである。ポイントは立ちくらみ。この方の場合、汗を出しすぎたり、下痢しすぎたりしたわけではないが、気の上衝があり、気につられて、水も上衝し、腎の周りのあるべき水が少なくなっていたと考えられる。よって上衝する、水を下げた事により、小便が出て、子宮、卵巣が水で潤い、妊娠されたと考察する。又29才の4年間の不妊症の方に、血の薬を色々使用して、3年間結果が出なかったのだが、駆血剤に、苓桂朮甘湯を兼用して2ヶ月でご妊娠された。この方は、水っぽいみずみずしいお肌で、桂枝・甘草ののぼせ症状があったので憶えている。舌は、歯こんがいつもくっきりとしていた。小便は1日、3~4回で少なく、冷えがあった。やはり、苓桂朮甘湯で、上に上がった水毒が下に下がって小便となり、子宮、卵巣が水で潤い、妊娠されたと考察する。 (考察) 人間が本来持っているバランス力を取り戻し、丈夫な卵を作るためのポイントは、 1. 苗床は暖かく......冷え性を改善 2. 苗床は栄養豊富に......胃腸を丈夫に 3. 苗床はふわふわと柔らかく......血を取り除く 4. よい環境のもとでは、良い生薬が育つ......ストレス(気滞)を取り除く 5. 水のあげ過ぎには注意......水毒体質を改善 現代社会は、科学の進歩により、ここ50年間、目覚しいほどの発展をとげました。また、コンピュータや機械の自動化により、ものすごいスピード社会となっています。 このスピードは明らかに人間のそれを上回り、そのギャプに人は疲れているようにも見えます。食事はファーストフードになり、母のぬくもりのある手作りの食事が消えつつあります。冷蔵庫食品には身体を冷し、自動車社会が運動不足を招き、身体の新陳代謝が落ちました。肉体疲労より精神疲労が増え、心と身のバランスが崩れています。以上のことからも言えるのですが、体を温め、血行を良くし、ストレスを作らないことが、大切となります。これを漢方処方に置き換えてみると、駆血剤と、柴胡剤です。 この二種類の兼用法が、現代人の不妊症には、必要だと考えます。 私は、生薬を種から作ることにより、自然の摂理を勉強しています。強い雨の日の寒い日のこと、畑で草かりをしていた時、そっと土の中に手を入れ、当帰の根を握った時に感じた暖かさを忘れません。その時、初めて、当帰が人の体を温めることを理屈無く体験しました。畑では、どんなに急いでも収穫は急げません。自分の五感をつかって、自然の感覚を取り戻す時期がきています。 最後に、私は、不妊症で悩んでいる人に、次の4つのことを伝えています。 1. 必ず子供ができると確信してください。 2. 自分の自然治癒力を高めるために、抑えていた感情をありのままに出してください。 3. 縄跳びを一日1000回してください。 4. 温める食事を摂ってください。
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