テレ朝の歴史番組に出演いたしました。

戦国大名総選挙|テレビ朝日

爆笑問題、ウエンツ瑛士MCの戦国大名総選挙・・12月28日(月)生放送に、徳川家康公の秘伝の漢方薬を作るシーンで出演させて頂きました。

徳川家康公秘伝の漢方薬       「八之字」
12種類の漢方薬が入ります。
薬研で生薬を粉にします。
製丸機で丸くします。出来上がり。

八之字

はじめに

江戸時代で75歳まで健康で長生きをし、子沢山に恵まれた家康公の秘訣は、鷹狩りで足腰を鍛え、麦飯を良く噛んで歯を鍛え、秘伝の漢方薬をのんでいたこと。

その秘伝の漢方薬の1つが八之(はちの)字(じ)なのです。八之字は中国、宋の八代皇帝「徽宗(きそう)」がまとめた太平恵民和剤局方という医学書にでてくる無比山薬円と同じものです。日本の漢方医、三宅意安が著書、延寿和方彙函のなかで「八之字」と命名しました。また、無比山薬圓(=八之字)は、漢時代の医学書、金匱要略の中の八味地黄丸を参考にして作られました。

八味地黄丸は、腰痛、前立腺肥大、高血圧症、低血圧症、老人性白内障、糖尿病、貧血、夜尿症、疲労倦怠、精力減退、動脈硬化症、脳梗塞、脳血管障害の後遺症、腎炎、腎臓結石、頻尿、等等、ご年配の方には、力強い味方なのです。よく「老化は、足から始まる」とよく言われます。この事を東洋医学では、「腎虚(じんきょ)」といっています。腎とは腎臓のことですが、生殖機能や、腰から下の機能も含まれます。ですから、腎炎や前立腺肥大、腰、膝の痛みも腎虚になるわけです。虚とは、空っぽという意味です。何が空っぽなのか?それは元気、気力です。親から頂いた「先天の気」と、空気や食べ物から取り入れた「後天の気」が腎にたまって生きるエネルギーとなるのです。よって長生きの秘訣は腎を強くすることです。家康公はこの東洋学的な考えをいち早く情報収集して尚且つ実践した方なのです。

八之字の製造

成分;乾地(かんじ)黄(おう)、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬(さんやく)、沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)、五味子(ごみし)、肉縦容(にくじゅうよう)、杜仲(とちゅう)、兎絲子(としし)、赤石脂(しゃくせきし)、巴戟天(はげきてん)、牛膝(ごしつ)

私の仕事場は、家康公のお城、駿府城の外堀の角に位置していて駿府薬草園があった場所である。偉大な経世家である家康公が製造した漢方薬を作れるとは夢にも思わぬことであった。なるべくその時代に即した製造過程を求められた為、十二種類の成分をすべて薬研にて末とした。正味十時間、薬研の作業は、手の平にマメができるほどの大変さがあった。

八之字の作り方は、下拵えとして胃にもたれやすい成分はお酒(乾地黄、沢瀉、肉縦容、兎絲子)や、酒と生姜汁半々(杜仲)で四十八時間浸し、その後、「沢瀉はあぶり(焙)、杜仲はいる(炒)」とあるが、両方とも焙烙(ほうろく)にて炒って表面を乾かし、残りのものとともに二十四時間自然乾燥させた。他の生薬とも薬研で粉末していく。全てが粉末に仕上がったのは約十時間、手の平が鈍く痛んだ。その後乳鉢で撹拌し、約八時間湯湯煎で濃縮させた蜂蜜(煉蜜)を、少しずつ混ぜていく。最後はそばをこねるように手で練り上げる。そこからゴルフボール大に小分けして、丸薬製造機に入れ、球同士がくっ付かないように注意しながら丸くしていく。丸薬製造機は日本漢方協会にお借りした手作りの貴重なもの。この後は乾燥させて出来上がりとなる。

製造に当たっては、全体量の設定に悩んだ。家康公は果たしてどれ位の量を一回で作っていたのか。最終的には、三宅意安が延寿和方彙函の量を参考にして、一両(=十匁)37.5gで計算し全量862.5となった。丁度手毬の大きさである。また、それぞれの生薬が薬研からこぼれない、ほど良い量である。

家康公は、胃腸が弱かったと聞く。「鳥犀圓」や「萬病圓」が繁用処方であったのもその理由で、『和剤局方』中の腎気丸類での製造を「八味圓」よりも「八之字」に絞ったのは、「積聚を破り胃腸を厚くし」を考えたのであろう。麦飯と、鷹狩りで足腰を強化していた家康公はそれほど腎虚の証は無く、また、温かい静岡では冷えから来る痛みを除く桂枝、附子や、炎症をのぞく牡丹皮を考えなくても良かったのではないかと考察する。話は少し脱線するが、食養生の考えに「身土不治」という言葉がある。育った所で出来る食べ物をとると病気になりにくいという意味なのだが、漢方の世界でも同じことが言える。例えば「三島柴胡」で知られる柴胡の最適地は静岡であるが、その理由として少陽病の熱状の如き、温かい海風と寒い富士山の吹き降ろしの冷気がぶつかり合う場所によく育つ。静岡人の性格も、少陽病の治病原則の如き和解的である。私たちの薬草園でも数年前一面柴胡の花で覆われるほどよく育ったことを思い出す。静岡では柴胡剤がよく効くのはその理由であろうか。もし家康公が、江戸に残っていれば八つ目の薬箪笥には「八味圓」が入っていたかもしれない。

八之字の効能

和剤局方の中に、出てくる無比山薬圓(=八之字は、次のように書かれている。

丈夫の諸虚百(ひ損、五労七傷にて頭痛目眩、手足逆冷、或は煩熱時有り、或は冷痺骨疼、腰髖随わず、飲食多しと雖も、肌肉を生ぜず、或は食少なくして脹満し、体は光沢無く、陽気衰絶、陰気行らざるを治す。此の薬は能く経脈を補いて、陰陽を起こし、魂魄を安じ三焦を開き、積聚を破り胃腸を厚くし、筋を強くし骨を練り、身を軽くし目を明らかにし、風を除き冷を去る、治せざる所なし。之を服して七日の後、人をして身を軽健にし、肢体潤沢、唇口赤く、手足緩やかに、面に光悦ありて、食を消し、身体安和、音声清響ならしむ。是其の験なり。十日の後、肌肉長ず。此の薬は中を通り脳に入り、鼻必ず酸疼す、怪しむこと勿れ。」

駿府薬草園の生薬

阿部正信著、「駿國雜志」によると、家康公は静岡市内に「御藥園」を二箇所もっていた。其の一つが、駿府城外堀付近で、一つが久能山下とある。まず駿府城付近では、住所が安倍郡北安東村(俗に明屋敷村と云う)にあり、初瀨山長谷寺の隣にあり、約四千三百七十三坪で四方に熊笹生垣があり大場久四郎が地守をしていたとある。此の園中に産する所の藥種は、

安倍郡北安東村「御藥園」

使君子(唐船持渡)、草菓(唐船持渡 福建)、草豆冠(唐船持渡 福建)、延胡索(朝鮮)、貝母(唐船持渡)、附子(奥州津輕)、甘草(甲州)、黄芩(朝鮮)、呉茱萸(唐船持渡)、肉桂(唐船持渡)、烏藥(唐船持渡)、ほんほろもんすう(阿蘭陀)、山茱萸(朝鮮種子)、和木香(江戸)、補骨脂(唐船持渡)、白朮(唐船持渡)、蒼朮(唐船持渡)、ほろごがる(長崎種實生)、枳殻(薩摩)、砂糖黍、大靑(浙江)、霍香(薩摩)、藁木(小石川御藥園出)、

烏藥(唐船持渡 揚州)、枳樹(唐船持渡)、無夷樹(唐船持渡)、大靑(江南)、唐芋(大村河内守献上種子)、馬兜鈴、和呉茱萸、零餘子人参、薄荷、天門冬、地黄、縮砂、蓮、

當歸、巴戟天、苦参、和防風、苧麻、黄蜀葵、黄連、川芎、知母、三菱、柴胡、細辛、杜衡、蘿勤、龍膽、草烏頭、白芷、蘿摩、商陸(やまごほう)、茴香、眞升麻、丸葉升麻、唐大黄、山査子、鳥臼木、和黄檗、山梔子、金櫻子、辛夷、桑、合歡、杜中、槐、厚朴、大棗、黄耆、唐出茯苓、三七、眞五味子、唐覆盆子、大葉麥門冬、升麻、三慈姑、白山芍藥

赤山芍藥、百合、蘭、五葉覆、續斷、冬葵、大葉車前、續隋子、蒼耳(おなもみ)、紅草

天南星、菎麻子、半夏、茜草、射干、芭蕉、白前、白大戟、唐防已、甘遂、和麻黄、地楡

唐酸棗、蔓荊、かわりん(・櫨)、唐胡桃、海松、油桐、楮、馬鞭草、羊乳根、前胡、澤瀉

へんるうた、木瓜

有渡郡久能御山下「御藥園」

坪数凡東西三十間、南北二十間で門は北向き。御目代中島俊藏信省の預る所とされていたとある。此の園中に産する所の藥種は、

使君子(唐船持渡)、貝母(唐船持渡)、延胡索(朝鮮渡竹葉)、黄芩(朝鮮渡竹葉)、甘草(甲州)、白朮(唐船持渡)、蒼朮(唐船持渡)、藁木、薄荷、烏藥、大靑種子、肉桂唐船持渡、山茱萸(朝鮮)、枳殻(薩摩)、呉茱萸(唐船)、蓮、芍薬(白紅)、佛手柑、茴香、眞五味子、地黄、續隋子、蒼耳、補骨脂種子、砂糖黍、龍膽、苦参、苧麻、黄蜀葵、ほんほろもんすう、馬兜鈴、大葉車前、三七、升麻、唐覆盆子、和木香、霍香、天門冬、麥門冬、零餘子、人参、紫苑、桔梗、山梔子、菎麻子、細辛、常山、大黄、當皈

八之字の十二成分中七成分が、この薬草園で育てられている。それ以外のもので山薬は地元の特産品で質の良いものが豊富にあり、肉縦容は、富士山麓に今でも天然のものが手に入る。赤石脂は生活の一部として普通にあるものであるから、兎絲子と、牛膝だけが定かではない。両薬草園合わせて五千坪(一丁八反)の薬草園で、是だけの薬草の種類だと単品での収穫量が限られる。当薬局の薬草園でも最高で六反近くまで広げたことがあったが、煎じ薬での使用量と連作障害を考えると、せいぜい三種類が限度であった。丸薬の製造に置いては単品での生薬の使用量が少なくて済むのでこれだけの種類が育てられたのであろう。ただ是だけの生薬に包まれて仕事が出来るのは羨ましい限りである。

 まとめ

この八之字は、晩年家康公の老化防止の保健薬として使われていた理由として肺に、足腰に、高血圧に、明目(目を良くする)に、胃腸に、頻尿に、膝の痛みにと、五藏六府を守っているバランスのよい漢方薬。そして、家康はこの自家製の漢方薬を家臣にも飲ませていたと聞いている。自分の弱点を知ることが名将の秘訣であるならば、家康公は自分の身体の弱点も良く知っていた。また、医学的にも人の身体のメカニズムもよく勉強していた。しかしそれだけではなく、難解の医学書を読破し、自ら漢方薬を作り上げるといったあくなき探究心。漢方研究家、家康公に学んだことははかり知れない。

(参考文献)

漢方フロンティア   田畑隆一郎著   源草社                

よくわかる金匱要略  田畑隆一郎著   源草社     

漢方サインポスト   田畑隆一郎著   源草社

漢方 第三の医学   田畑隆一郎著   源草社

「駿國雜志」      阿部正信著

徳川家康と「八之字薬」 宗田一

長寿将軍徳川家康の座右薬を復元する 山崎光夫

訓註 和剤局方     陳師文 吉冨兵衛 緑書房

傷寒論の薬物の分量について 桑木崇秀

戦国武将から学ぶ健康法

令和2年12月18日 静岡市清水区の浜田いきいき大学にて、講演をいたしました。皆さんとは、今年で2年目。今年も皆様方と楽しく過ごすことができました。以下はその感想と、講義内容です。

・戦国武将の健康法を知ることができて日常生活に取り入れたいと思った。
・わかりやすく生活に取り入れやすいお話の内容でとても参考になりました。
・大河ドラマが大好きなので役者さんとダブってみえました。
・コロナに勝つため教えて頂いたことを行いたいです。
・自分の健康を保っていくために参考になった。
・話にテンポがあってたのしく聞けました。
・この頃漢方薬のことを知りたいと思っていたのでよかったです。
・呼吸法、実践したい。
・戦国武将の健康法の講座よかったです。それぞれ自身の健康法をうえに立つ者としてあみだしていたことがよくわかりました。
・イライラしない、すり足で歩く、タオルの足指でひきよせ等できたらやってみようと思います。
・いつの時代も健康は大切。健康維持の大切さを学びました。
・心に感じることがおおくありました。
・時代に強く生きた人の考え方が学べたような気がします。
・教えてもらったことをしっかり守りたい。
・年齢に関係なく人生学ぶこと続けることを学びました。
・大満足でした。今日から健康に気をつけます。
・よく理解できました。感謝しています。
・興味深くわかりやすかった。
・呼吸法、実践したい。
・戦国武将の健康法が面白かった。
・ユーモアをまじえた楽しいお話で参考になりました。
・もう少し時間がほしかったです。
・とても健康のためになる講義をしていただきこれからの生活に取り入れたい
・鈴木先生の聞きやすいお話とこれからの生活態度を考えさせられた講座でした。

講演の内容  

(むつごろう薬局 薬剤師 東邦大学薬学部客員講師 鈴木寛彦)

戦国時代の武将、甲斐の虎と呼ばれた武田信玄。徳川家康公然り、天下に名高い武将の生活は、武力とは裏腹にしっかりとした道徳に基づく生活習慣があります。そこには現代にも通じる健康法が隠されています。ぜひこれを身につけ習慣にして、できるだけ薬に頼らない生活を目指していきましょう。

1、織田信長

2、豊臣秀吉

3、武田信玄

4、上杉謙信

5、毛利元就

6、伊達政宗

1、織田信長(明智光秀)(50歳)(170㎝・65Kg)

激しく厳しい性格で、気が短いが50歳までは超健康体。母の愛情不足が生んだ変わり者の性格は`誉めてもらいたい症候群と負けず嫌いの性分。許せない相手を完膚無きまで叩きのめす、とても怖いタイプ

漢方薬を出すなら・・・・柴胡桂枝乾姜湯

足を鍛える健康法

岐阜城(稲葉山城)90分往復を9年間。 安土城(ビル10階)を上り下り・・太腿筋肉量の要介護危険ライン10g/Kgw、

①  トイレで座り立ち2回、大股歩きや腿上げ

②  足半(あしなか)を使う。

  (50歳を超えると、踵が重心となり、足先が浮く。浮き指が肩こり、腰痛のもと)

③  足先タオル引き寄せ運動2分、1日2回行う。

心を鍛える健康法

切れやすい信長から反面教師 攻撃的でせっかちなタイプAから穏やかな落ち着いたタイプBへ

④  10秒数える方法(理性が介入する6秒を待つ)

2、豊臣秀吉(竹中半兵衛・黒田官兵衛)(62歳)(140㎝・45Kg)

頭の回転がよく、よく気が付く`人たらし`。その性格が出世欲に結びつき奇跡のサクセスストーリーを生む。晩年は育ちの悪さがあだとなり、怒りで孤独を深めた。

漢方薬を出すなら・・・・晩年は釣藤散

  •  どじょう食健康法・・トリプトファン豊富な食事。(幸せホルモンセロトニンを増やす)

  トリプトファンの一日の目標摂取量は体重1Kgあたり2mg。60Kgの人は120mg。

  食品中のトリプトファン含有量(可食部100gあたり)

  白米82mg、玄米94、パスタ140、そば170、鮭250、カツオ310、まぐろ270、豚ロース 

  280、鶏むね肉270、木綿豆腐98、豆乳53mg

②  日光浴健康法・・セロトニン神経にスイッチ(太陽の光が脳幹の膖線核まで届く)

③   踏み台昇降20分・・・一定のリズムで筋肉の弛緩と緊張を繰り返す運動はセロトニン神経を

             活性化する。

④ 無駄に怒らないコツ・・乱暴な言葉を使わない

⑤ 能のすり足・・・大腰筋(足をあげたり、姿勢を保つ筋肉)強化。

          高さ10センチの台に片足を浮かせ前後に10回。

秀吉は、怒りの感情を押さえ切れないことが原因で胃癌の道を辿る。

3、武田信玄(山本勘助)(53歳)

父親との確執が生んだ仲間意識と勝つことへの執着心。信長をも震え上がらせた戦国最強の猛将。晩年は、気遣いと心配性がたたり、胃癌に。生涯勝率75%、敗戦率3.8%でほぼ負けなし。

漢方薬を出すなら・・・・晩年の胃癌に旋覆花代赭石湯

  •  温泉健康法・・・傷口修復のアミノ酸をふくむ信玄隠し湯(アミノ酸は血液によって       運ばれコラーゲンとして欠損部分を埋める、温熱効果で血行をよくする、水圧がリンパの流れをよくし疲労回復効果)短い時でも負傷               して2ヶ月で出陣。

②   トイレでリラックス・・躑躅ヶ崎館内での、6畳の水洗完備の伽羅の香り広がるトイレで一

             人の時間で大事な決断

信玄は、気を遣い過ぎたストレスで胃癌の道を辿る。

信玄の健康法・・・武田家百目録から

1、朝の目覚めは「臍下丹田」から・・・朝寝坊しても急に起き上がってはいけない。これは非常に悪いことである。寝床に仰向けに寝返り、両足をそろえ、両手の指を絡めてゆっくりと、胸から臍の下まで三回なでおろし、それが終わってから、臍から9センチ下の丹田をしっかり押さえてから起き上がるようにせよ。そうすれば、その日のどのような事態に遭遇しても、慌てふためくことはない。このことは大切であるから毎日の癖にとするように。(武田信玄より)

昔の日本人はこの「丹田」を意識して生活してきました。丹田に気持ちを集中すると自律神経が安定します。武道をはじめ茶道、花道と道のつくものは全て丹田の大切さを教えています。

2、安眠は健康のもと・・・いかに疲れているからといっても、すぐに寝床に入って寝てはいけない。毎朝しているように、上記(1)の事を行い晴れ晴れした気持ちで丹田を押さえ気持ちを落ち着けて寝るようにせよ。このようにして就寝すると、夜中にどんな異変に合ってもあわて浮ため機、迷うような事はない。

3、毎時堪忍の二字を意にかけよ・・・床を離れたならば寝床の上にあぐらを組み、その日に行う用事を心の中に描き、よく整理、順序を立ててのち、寝床を出るようにせよ。その後起きて来た家族が自分に気に入らぬような言動などを耳にしたり、見ることがあっても、急に大声を出して怒ったり騒ぎ立ててはいけない。せっかく夜中にゆっくり休んで疲れもとれ、晴々した気分になったのに、朝から陽気をくじくと、その日は何事もうまくいかず、病気などをしたり、取り返しがつかないようなことが起きたりして損失を受けることが多い。したがって朝の朝食が終わるまで心を冷静に保ち我慢柿、食後になってから諸注意を与え、よく話し合ってその理由などを明らかに申し聞かすべきである。何事も堪え性がなく気まま勝手を言うには世渡りの下手な者である。

4、人の心変わりの恐ろしさ

5、負けるが勝ち

(参考文献:武田家百目録(人生訓) 小島勇編訳 武田神社発行)

4、上杉謙信(直江兼続)(48歳)(158㎝・65Kg )

自らを戦いの神・毘沙門天の生まれ変わりと信じ、義経に武略を学んだと言い、瞑想を行い、酒豪となると、その性格は非常に繊細かつ思い込みが激しいタイプの武将。義を重んじる精神が神を見方につけ、織田軍をも手取川の戦いで完膚無きまで叩きのめし、生涯勝率61%、敗戦率2.8%で信玄を上回る。

漢方薬を出すなら・・・お酒と一緒に八味地黄丸

  • 瞑想・・毘沙門堂(思考を司る前頭前野と記憶を司る海馬。物事を決めるとき前頭前野が海馬に指令を出して記憶を引き出して判断を下す。瞑想には脳をリラックスさせることで記憶が整理されて判断が必要とされるときに情報を効率的に出せるようになる。)
  • 一汁二菜と質素な生活
  • 酒(死因の原因にもなった酒ののみすぎによる糖尿病、戦場での馬上杯(一合徳利二本半)

呼吸と姿勢の関係

 胃腸や肺が弱い人の姿勢は、腰が曲り猫背になりがちです。胃腸や肺を守るため自然にそのような姿勢になって行くのですが、気をつけないと無意識に呼吸が浅くなって行きます。私たちは生きるためのエネルギーの85%を空気中から頂いているので、食物の摂り方が良くても、浅い呼吸で酸素不足になると、完全燃焼せずエネルギー化ができず栄養不足になり、疲れやすく、老いやすくなります。平均で呼吸は1分間に16回で、強く長く深くすると1回まで落とせます。上級者は5−10分に1回の呼吸まで平気になるそうです。深い呼吸は酸素効率を高め、新陳代謝を旺盛にし、気魄に富むようになり、疲れにくくなり、若返り、心身の病や治療、予防にもなります。

 深い呼吸をするには、先ずは姿勢をよくする事が大切なのです。では皆さん、その姿勢の作り方、呼吸のやり方を説明させて頂きます。

小倉流姿勢と呼吸の実践

1、お尻を後ろへ引き、臍の下(腰仙関節)を最大限に強く前に突き出す。(腰仙部の筋肉が緊張し、肛門がしまり、臍下丹田に力がみなぎる。)

2、あごを引いて、うなじを伸ばし、肩の力を抜いて落すと、胸が張り横隔膜が下がる。

3、この正しい姿勢で、鼻から音がしないように静かに息を吐き出す。この際徐々に下腹を凹ませ、肛門を締め上げる。

4、次に静かに音のしないように、鼻から息を吸い込み、一旦息を止めてからまた初めのように息を吐き出す。(できれば60秒を目標に吐き出す。腹圧を急に抜くと、反動的に意識せず

大量の空気が肺中に流出して酸素の受容量が増大して、健康増進、脳細胞の活動をよくする。)

深い呼吸は新陳代謝を高める

 この姿勢での呼吸は、全肺呼吸、腹式呼吸と言われ、浅い呼吸と比べ三分の一の呼吸エネルギーで三倍のガス交換ができ、炭酸ガスの排除され、血液のアルカリ性の度合が強まります。血液がよりアルカリに傾くと、ウィルスなどの病原体を排除する白血球の働きが強まり、また疲労物質も溜まり難くなります。手前味噌ですが、確かに気がつくと疲れが違ってきました。朝の寝起きも良いのです。疲れないから、仕事の日でも朝からジョギングに行くこともありました。また驚くことに呼吸が深くなると、食べるスピードが遅くなりました。よく味わって食べるようになったので濃い味を好まなくなりました。以前は体重を減らすため、カロリーを抑えることに躍起となり、その結果、新陳代謝が落ちていることに気がつかなかったのです。深い呼吸はエネルギー効率を上げるため、食べ物が完全燃焼するようになり、少ない量で新陳代謝を良くできるのです。小倉先生の食事は一日一食であったと聞いています。私たちには難しことですが、呼吸を深くし栄養が完全燃焼できれば確かに可能なのかも知れません。

呼吸と漢方薬は、寿司と醤油

 とても大切な組み合わせという意味です。皆さん漢方薬が体に働くメカニズムを知っていますか?一言で言いますと`体内の毒を外に出して病気を治す`という事です。大便、小便、汗、生理などで体毒を出す、手助けをするのが漢方薬なのです。風邪を引いても早く治る方は熱を出せる人で、熱を出す力がない方は風邪が長引きます。深い呼吸をする方は、いつも新陳代謝が高まっているので毒素を外に出しやすく、漢方薬の効きをよくしてくれます。寿司には醤油がなくてはならないように、漢方薬と呼吸は大切な関係です。漢方薬の効きを高めるためにも是非呼吸法を身につけて下さい。

5、毛利元就(75歳)

家康公と同じ寿命で、70歳で子を成し(家康公66歳)、頭を使う生き方は家康公と瓜二つ。

5歳で実母を亡くし、10歳で父を亡くした生い立ちは、命を助けてくれた漢方医、曲直瀬道三の生い立ちに近い。二人を引き合わせた理由がそこにあるかも知れない。よく頭を使いぐっすり眠ることは健康の秘結と元就と家康公が教えてくれている。

漢方薬をあえて出すなら・・・続命湯

  • よく頭を使う・・・三矢の訓、女性に敬意を払う、

② 早起き・・寝つきの良さを良くする。寝入り端90分が勝負。この時成長ホルモンの8割が分泌される。これが睡眠の質を高めてくれる。                    

(イ)脳を使うことで睡眠物質アデノシンをためる。                

(ロ)寝る前のリラックス、小言、愚痴、説教でストレス解消            

(ハ)入浴後深部体温下がる2時間後に床に就く。

③ リラックス体操

  •  お灸・・70歳で意識を失い倒れる。曲直瀬道三のお灸で助けられる。お灸で皮膚を刺激すると  

ヒストトキシンという有害物質が発生。これを除こうと白血球などの免疫成分がふえて回復能力が増す。ツボは、百会、大椎、肩井けんせい、曲池、間使かんし、足三里の7つ。奇跡の回復劇。

⑤ 酒は小さな器で1−2杯

6、伊達政宗(片岡景綱)(70歳)(160㎝・57Kg)

5歳の疱瘡で片目を失い、23歳で落馬による骨折と、健康面で気を使うことを余儀なくされた政宗は、密かに家康公との長生き競争をスタートさせた。その甲斐あって生涯大きな病気なく健康であった。

漢方薬を出すなら・・・利膈湯(食道癌)

①  いい水を飲む。(本丸水源)

②  茶杓つくり。(名人芸でストレス緩和、達成感のやる気ホルモンドーパミンの力で前向きな気

         持ちに。)

③  脈診健康診断・・病気があると、気血水の通り道「経絡」が乱れ脈が乱れる。

政宗は、食道、胃癌、癌性腹膜炎の道を辿る。

終わりに

それぞれの上りつめる故の強い性格は、それによって身を滅ぼす要因にもなります。東洋医学では中庸という考えがあり、`いい加減`が必要だと言っています。頑張り過ぎず、考え過ぎず、人の目を気にし過ぎず、程々を目指していきましょう。それが健康で長い人生を送る秘結になるかも知れません。