新書の紹介「薬徴新論」

 日本漢方「古方派」の第一人者薬学博士、田畑隆一郎先生の14冊目になる漢方専門書が源草社より発売されました。田畑先生は私たち漢方勉強会、無門塾の主宰であります。先生から学ぶことは漢方の世界にとどまらず、東洋医学的哲学をもご教授頂いております。専門書になりますので、少し難しい内容ですが、漢方を志す方にとっては、とても勉強になると思います。

田畑先生より

漢法治療の原典「傷寒論」は古聖人でなければ作ることができない聖典である、とすべての漢法研究家は賞賛している。漢法薬は実によく効く。それには拘るきぐすりの薬徴と結合による薬能を充分に認識し、漢法治療原則の厳密な順守が前提となる。私、案じるに、古代傷寒論の証に対応する薬方は 17 種あり、二味のきぐすりの結合体となって証に相対している。よって二味の薬徴本体と呼ぶ。病が複雑化するとこの薬徴本体に更に他の二味が加わって薬徴複合本態となり、薬方を構成するものと考えられる。漢法の基本であるきぐすりをよく観て、匂いを嗅いで、毒薬に至るまでよく齧ってみるがよい。出来得れば種から育てるのが一番良い。文字通り生きている薬の姿に気づくであろう。膨大な本草書に囲まれた中医学や、陰陽五行説の間をさまようのも漢方研究の一つの方法ではあるが、きぐすりの薬徴本体も求め、薬徴複合本態に思いを馳せて、薬方機能図の中に漢法治療原則を凝縮させて、「傷寒論」を戦術書として育てあげるのもまた一つの方法ではなかろうか。2021年 4月3日 著者

おばあちゃんと紫雲膏

 今日は、祖母のお話です。去年の冬から、手の甲、腕、ふくらはぎ、すねがとても痒くて、掻いてしまう。掻くことによって、更に皮膚が傷つき、赤くなり、掻いた部分の皮膚が厚くなってしまう。病院で、塗り薬をもらい、少しよくなったので安心していたら、また痒くて掻いてしまって、元に戻ってしまった。そこに、紫雲膏(シウンコウ)をたっぷり塗ったら、瓶の中身がなくなるころには、かゆみは消え、皮膚も多少赤みがあるくらいになった。その後も塗り続け、今ではかゆみはなく、皮膚もきれいになった。祖母はとてもうれしそうにしていました。何歳になっても、きれいでいたい気持ちは変わらないようですね。
 この紫雲膏は、むつごろう薬局で手作りしているものです。使っている原料も無農薬の生薬を使い、すべて自然のものからできているので赤ちゃんの口に入っても安心です。家族全員が使えるので、一家に一つあると、今からの時期、蚊にさされ、やけど、きりきず、にきび、水虫、手荒れ、痔にまで幅広く役立ちます。また、床ずれにもよく効きます。昔、床ずれのひどかったお客様が紫雲膏でとてもよくなり、むつごろう薬局に足を向けて眠れないとまでおっしゃってくれた方がいました。紫雲膏がお役に立ててとてもうれしいです。