耳・鼻・口の病気と漢方薬

【耳鳴りと漢方薬】
キーンという金属音、ジージーというセミの声、耳のつまり感など、耳鳴りの鳴り方はさまざまですが、漢方では、単に耳の病気としてとらえるのではなく、からだ全体の問題としてみていきます。例えば、めまいを伴う場合は、水毒病と考えたり、便秘や肩こり、頭痛を伴う場合は、血毒病と考えます。漢方薬は、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)や桃核承気湯(とうかくじょうきとう)等を使用します。

【難聴と漢方薬】
難聴には、いくつかのタイプがあります。

  • 風邪の後に耳がつまる難聴
  • メマイを伴う難聴
  • ストレス性の難聴
  • 老人性の難聴
  • 職業病(騒音等)による難聴

などがありますが、漢方ではその原因や体質によって薬を使い分けていきます。例えば、老人性の難聴は、腎に原因があると考えますので、陣に力をつける腎気丸(じんぎがん)という薬を使います。
他にも、メマイを伴う場合は、水毒によるものと考えますので、からだの余分な水を出す茯苓(ぶくりょう)や蒼朮(そうじゅつ)を使ったりします。

【メニエール病と漢方薬】
メニエール病は、メマイ・嘔吐・耳鳴り等を伴ない、からだの平衡がとれなくなる病気ですが、漢方では、水の代謝異常(水毒)が原因と考えていきます。一番良く使用する漢方薬は、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)です。また、水の代謝異常は、内耳の血行不良によっても起こると考えますので、血行を良くする桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)もよく使います。

【アレルギー性鼻炎(花粉症)と漢方薬】
漢方では、アレルギーを抑えるというよりも、アレルギー体質そのものを改善していきます。漢方では主に、アレルギーの原因は”水毒”だと考えますので、水毒体質を改善していく薬を使っていきます。最もよく使用する漢方薬は、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)です。

【蓄膿症(副鼻腔炎)と漢方薬】
蓄膿症は、慢性化するとなかなか治りにくくなる病気です。漢方では、血行を良くして、化膿しやすい体質を改善していきます。よく使う漢方薬は葛根湯加川きゅう辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)です。また、甘い物や油っこい物が好きで、血液が汚れている人(血毒)の場合は、解毒不良体質を改善していく荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)を使用します。

【いびきと漢方薬】
いびきは、鼻の病気や扁桃肥大等によって起こりますが、漢方では、体質によって薬を使い分けていきます。例えば、肩がこりやすく、鼻がつまりやすい人には、葛根湯加川辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)を使用したり、お腹が張って、息苦しいものには大柴胡湯(だいさいことう)を使用したりします。

【口内炎と漢方薬】
口内炎は、口の中の病気(炎症)ですが、漢方では、からだ全体(特に胃腸や肝臓など)に原因があると考えます。胃腸の調子が悪く、胃炎や下痢などがある人には半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)、ストレスが多く、首から上に汗をかきやすい人には柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)を使用します。

【口臭と漢方薬】
口臭の原因は、虫歯や歯肉炎などの口の病気、胃腸の病気、肺の病気、糖尿病、ノイローゼなど人により様々です。漢方では、その人の体質によって薬を使い分けていきます。例えば、胃腸炎があって、舌びらに白い苔がある人には甘草瀉心湯(かんぞうしゃしんとう)を使用したり、精神的なものが強い場合は加味逍遥散(かみしょうようさん)を使用したりします。