毎年、春(3~5月頃)になると、目やまぶたが痒くなり、ひどいと充血する。目薬をさしたりはしているが改善が見られず、漢方薬を試してみようと来局された。
顔色は、黒っぽく、吹き出物がある。大便は2日に1回くらいで、足は冷える。また、イライラしやすく、夜の眠りが浅い。食べるのは好きなほうで、肉食を好む。汗はかきやすい。舌の裏の静脈は紫色になっている。
漢方薬の桃核承気湯を処方。飲み始めた頃、黒い大便がたくさん出てきたという。その後も大便は毎日出るようになり、2週間が経った頃より、目の充血、痒みが軽減。1ヵ月後にはほぼ根治した。その後は、吹き出物もなくなり、体重も5kg 落ちたと喜ばれ、漢方薬を常用されている。
社会人になった頃より、目が乾燥し始め、目薬をささないとショボショボしてコンタクトも付けられないという。病院で検査をしたが、シェーグレン病ではないという。
体質は、冷え性、寒がりで、唇や身体も乾燥しやすい。特に冬場は悪化する。顔色は、やや赤ら顔で、大便は3~4日に1回、小水は日に7~8回。生理は順調で、生理痛はあるため、1日目と2日目には鎮痛剤を飲む。チョコレートやアイスクリームをよく食べる。肩こり、頭痛あり。
漢方薬の温経湯を処方。飲み始めると、大便が毎日通じるようになり、お腹や足がポカポカしてきたという。その後も同処方を継続してもらうと、3ヶ月が経った頃から目の乾燥が気にならなくなったという。また、その頃より、唇や肌の乾燥も改善され始め、約1年で、目と身体の乾燥はほぼ改善された。
この方の場合、チョコやアイスの摂り過ぎで経(子宮や卵巣等)に瘀血(おけつ)が溜まり、血行が障害されて体中が乾燥していた。温経湯は、経を温める薬で、これにより瘀血が取れ、血行が改善されて乾燥が潤ったと考えられる。