飛蚊症と漢方薬(29歳女性:身長156cm体重43kg)

1年前に出産をした後、飛蚊症になる。特に左目のほうに多く出て、天気の良い日や明るい部屋などにいると気になる。目は疲れやすい。

体質は、冷え性で肩がこりやすく、めまいを起こしやすい。特に子供を産んでからは疲れやすく、起き上がったときや頭をゆらすとふらつくことが多い。睡眠時間も5~6時間とやや少なめで、子供のことが気になり何度も目を覚ます。大便は日に1回。小水は近いという。また、飛蚊症は、疲れたときのほうがひどく出るという。

漢方薬の苓桂朮甘湯を処方。飲み始めると、初めお小水が増え、よく眠れるようになったという。1ヶ月が経過すると、飛蚊症の量が減り始め、めまいは無くなってきた。その後も継続して服用。1年間飲み続け、飛蚊症は出なくなった。

漢方では、飛蚊症を”水毒(すいどく)”の病いと考える。水毒とは、体に余分な水が溜まり、それが悪さをすることを言う。この方の場合も、もともとある水毒体質に、出産、子育ての神経疲労が加わり、飛蚊症やメマイを引き起こしていたと考えられる。苓桂朮甘湯は、頭に昇った水毒を下降させ、小水に導き、メマイや飛蚊症、耳鳴りなどを改善する。

黄斑変性症と漢方薬(41歳女性:身長155cm体重60kg)

1年前より、ときどき物がゆがんで見えるようになったため、眼科に行ったら、黄斑変性症(左目)と診断された。とりあえず目の血液循環をよくするお薬を飲んで経過を見るとのことだった。そしてその後もあまり症状が改善されないため薬局にご来店された。

顔色を見ると、シミが多くて血液の循環が良くない様である。舌の裏側を見せてもらうと、紫の血管がくっきり2本浮き出ている。また、普段からやや便秘気味で、眠りは浅い。肩こり、頭痛、足の冷えあり。天気が悪いと頭痛は悪化する。生理は順調だが、時々生理痛がひどいときがあり、その際は鎮痛剤を飲む。また、甘いものが大好きで、お饅頭やおはぎなどをよく食べると言う。

漢方薬の桂枝茯苓丸加大黄(けいしぶくりょうがんかだいおう)を1ヶ月分処方。飲み始めると、毎日大便が出るようになったという。さらに1ヶ月分を処方。肩こりや頭痛が軽減し、舌の裏の血管が見えにくくなっている。さらに1か月分をお出ししたところ、目のゆがみが出なくなったと言う。ただここで漢方を止めるとまた目が悪化すると良くないのでしばらく続けてもらうようにお伝えした。それから約1年、目のゆがみは1度も出ていないとのことだった。そして顔にあった10円玉くらいの大きなシミが取れたとかなり喜んでおられた。現在も漢方薬を服用中。

この方の場合、甘いものが好きと言うことで、瘀血(おけつ:汚れた血液)が溜まり、黄斑変性症の引き金になったと考えられる。舌の裏の紫の血管や顔のシミは典型的な瘀血の症状である。桂枝茯苓丸加大黄は、溜まった瘀血を取り除き、目の病気の進行を遅らせ、自然治癒力が働いて視力の回復に至ったと考えられる。