膝の痛みと漢方薬(52歳女性:身長161cm体重73kg)

3年前より、膝の痛みを感じるようになった。両膝とも痛いが、左足のほうが特に痛む。ひどいと水が溜まり、病院で抜いてもらう。健康食品を飲んだり、ヒアルロン酸の注射をしてみたが、なかなか改善されないため、漢方薬を試してみようと御来局された。

体質は、冷え性で寒がり、疲れやすい。また、夏場は汗をかきやすく、少し動いただけでも顔からしたたるという。小水は4~5回/日、大便は1回/日。甘い物をよく食べると言う。花粉症あり。足を見せてもらうと、膝の辺りがかなりむくんでおり、ぶよぶよとした感じがある。また、太い静脈瘤ができていた。

漢方薬の防已黄耆湯合当帰四逆湯を処方。飲み始めて1ヵ月後に来局されると、お小水がよく出るようになり、膝の痛みが少し和らいでいるという。また、足が温まっているとのこと。そのまま継続してもらうと、次第に痛みはとれていき、約1年後には、痛みはほぼ無くなった。また、体重が4kgほど落ちたと喜んでおられた。

この方の場合、平素から甘い物を好み、お饅頭や菓子パン、ミカンなどを毎日のように食べておられたため、身体に余分な水分が溜まってしまい、体重も増え、膝にかなりの負担が来ていた。防已黄耆湯は、余分な水を除き、当帰四逆湯は膝を温めていくことで、次第に痛みが和らぎ、おまけに体重まで落ち、膝の負担が減ったと考えられる。この方には、漢方薬を飲むと同時に、甘い物の摂り過ぎも控えてもらった。

足のしびれと漢方薬(65歳女性:身長155cm体重63kg)

3年位前から足がしびれるようになり、病院で注射を打ったり、整骨院や鍼灸、整体に行ったが改善されない。両足にしびれがあるが、左足のほうがひどく、太もものあたりから足の先までしびれがある。冬場のほうが悪化する。手足はかなり冷えやすい。

体質は、色が白く、胃腸は丈夫だが、冷え性で腰痛がある。また肩もこりやすい。大便は毎日あり、小水は寒いと頻尿になる。食べ物は、甘い物を好むと言われ、ミカンなどもよく食べると言う。

漢方薬の当帰四逆湯を処方。煎じて飲むと、手足がポカポカ温まって良いと言う。さらに飲み始めて3週間が経った頃よりしびれが和らぎ始め、約半年間の服用でしびれは無くなった。

この方のしびれは、体表部に”水毒”があり、それが冷えると縮んで血行障害を起こし、しびれ感をもたらしていた。当帰四逆湯は、体表の水毒を除き、血行を改善することでしびれを改善する。また、この方の場合、水毒の原因となる、甘い物やミカンなどを控えてもらうようにお伝えした。