アトピー性皮膚炎と漢方薬(10歳男児:身長134cm体重31kg)

2年前頃より、肘の内側や膝の裏、首の周りを中心にアトピーが出始めた。初めの頃はステロイド剤を使っていたが、知人より副作用があると聞いて、漢方薬を試してみようと来局された。

患部は、ガサガサと乾燥しており、かいて傷になっている。夏は、汗で痒くなり、冬場は乾燥がひどくて痒がると言う。体質は、顔色が浅黒い感じでやや悪く、大便が2日に1回、小水は3~4回/日、夏場は汗っかきで、スポーツドリンクをよく飲み、アイスクリームもよく食べると言う。

漢方薬の黄耆建中湯を処方。それと、甘い物をできるだけ摂らないようお母さんにお伝えした。1ヵ月後、飲み始めて1週間位した頃から、肘の内側や首、腕の辺りにジュクジュクした湿疹が出て、今は引いてきたという。そのまま同処方を継続してもらい、アトピーは次第に綺麗になっており、浅黒かった顔色も、赤みが出てきて血色が良くなっている。その後、順調にアトピーは改善し、1年半で完全に綺麗な肌に戻った。

漢方では、アトピーを外から抑えるのではなく、身体の中に溜まった毒素が原因と考え、漢方薬を使ってその毒素を排出させる。一時的に悪くなったように見えるが、その後徐々に改善してくる。

乾燥肌と漢方薬(29歳女性:身長162cm49kg)

二十歳を越えた頃から肌の乾燥がひどくなり、保湿剤をつけてもすぐに乾く。特に冬になるとひどくなり、すね辺りはぼろぼろと皮がむけてかきくずし、ひどいときは出血するという。また、唇はいつも乾いていてリップクリームは手放せない。友人に漢方薬を勧められご来局された。

肌を見せてもらうと、乾燥はかなりひどく、すねはがさがさになり、かなりかきくずしてある。また、顔や頭、体全体ががさがさに乾燥している。体質は、冷え性で寒がり。冬場は靴下を2枚履き、電気毛布を使って眠るという。生理は順調だが、まれに不正出血がある。大便は2~3日に1回。甘い物(アイスクリーム、チョコ等)を好む。運動はしていない。顔色は青白く、頬は赤くほてっている。

漢方薬は温経湯を処方。同時に、なわとびを日に1000回続けてもらうことにした。1ヵ月後、冷え性はいくらか改善してきたという。さらに1ヵ月後、乾燥がいくらか改善し始め、電気毛布がいらなくなったという。なわとびは初めつらかったが、最近は1000回跳べるようになったという。それから約1年服用され、肌の乾燥はほぼ改善され、かきむしることも無くなったという。

温経湯は、子宮などのお腹を温め、血行を促進し、乾燥肌を改善する。彼女は、甘い物を好み、子宮が冷えていたために、血の流れが悪化し、肌が乾燥していたと考えられる。