身長160㎝、体重43Kg。生理が昨年夏から来ていない。ホルモン剤を半年服用していたが薬を止めると来なくなる。気持ちは不安定で人によく気を使う性格。手足が冷えて便秘があり、耳鳴りも多い。お腹にガスがたまりやすく、げっぷも多い。掌は火照り、オリモノも多い。病院から温経湯の顆粒を服用していたがあまり変化がない。
「証」を見てみても確かに温経湯は間違いなく、そのことをお客様にお伝えしたうえで、煎じ薬で、温経湯(アキョウは驢馬のものを使用)を出させていただいた。服用後2ヶ月で生理が整い、半年後にご妊娠された。
漢方薬は、1に「証」を合わせること、2に良い生薬を使うこと。
私たちの漢方の師匠田畑隆一郎先生がいつも言っています。今回の症例の方は当にそうでした。
身長168㎝、体重53kg。妊活歴2年。この方は国際線客室乗務員で大変神経を使う仕事につかれていました。今までの人生をお伺いしたところ完璧と思えるぐらいの経歴でした。努力を惜しまず何事にもチャレンジして、いつも前向きでした。それがここに来て初めて努力しても手に入れられない苦しさを知りました。症状は、手足の冷え、疲れやすさ、足のむくみ、目の疲れ、嗅覚が弱い、肩こり、腹痛、既往歴は多嚢胞性卵巣症候群、卵巣嚢腫がありました。漢方相談をする度に、心の中にある誰にも分かってもらえない辛さを話して頂き何度も何度も涙を流されました。漢方を服用して一年が過ぎようとしていた時、少し肩の力が抜けたようで顔の表情も明るくなりました。その一ヶ月後、自然妊娠されました。涙を流す度に肩の力が抜け自然体に近づいたのかもしれません。使った漢方薬は柴胡桂枝乾姜湯と桂枝茯苓丸でした。