37歳のご夫婦。6年前より不妊治療を開始し始めたといいます。奥様は、特に大きな問題がなく、ただ疲れやすい、冷え症があります。ご主人様は、精子の状態が悪く、運動率も10~30%しかなく、顕微授精を勧められたといいます。4回目の顕微授精が失敗したので、やはり身体の中から体質改善をしようと漢方のご相談に見えられました。
奥様には、体力をつけ、冷えを治す当帰建中湯(煎じ薬)を調合し、ご主人様は、胃腸が弱く、下痢しやすく、疲れやすく、汗っかき、寝汗、精力減退があったため、黄蓍建中湯(煎じ薬)を調合しました。飲み始めて4か月がたったころには、ご夫婦ともに体調が回復され、ご主人様は、食欲、性欲が増し、体重も増えてきました。そしてその後、すぐに自然妊娠され、無事にご出産されました。
40歳の女性。2年前より不妊治療を開始したようですが、多嚢胞性卵巣があり、自然妊娠は難しいといわれ体外受精を5回したようですがいずれも採卵はできても着床しなかったといいます。身長162㎝、体重65㎏とやや太めで便秘症があり、下腹が張って硬くなるといいます。顔色はいつも赤く、足は冷えます。舌の裏の静脈が怒張しており、ふくらはぎにも静脈瘤が見られます。
漢方薬の桂枝茯苓丸料と桃核承気湯を調合。飲み始めていくと、便秘が改善され、下腹の張りが減ってきたといいます。漢方薬を初めて3か月後に採卵。それからさらに2か月後に移植をしたところ、陽性反応が確認できたといいます。漢方薬を桂枝茯苓丸料だけに変えてお出しし、無事に問題なくご出産されました。
漢方では、便秘、下腹の張り、硬さなどを瘀血(おけつ:古血のとどこおり)と考え、着床を妨げたり、排卵障害の原因になったりすると考えます。桂枝茯苓丸料と桃核承気湯は、ともにこの瘀血を取り除く漢方薬です。