黄斑変性症と漢方薬(41歳女性:身長155cm体重60kg)

1年前より、ときどき物がゆがんで見えるようになったため、眼科に行ったら、黄斑変性症(左目)と診断された。とりあえず目の血液循環をよくするお薬を飲んで経過を見るとのことだった。そしてその後もあまり症状が改善されないため薬局にご来店された。

顔色を見ると、シミが多くて血液の循環が良くない様である。舌の裏側を見せてもらうと、紫の血管がくっきり2本浮き出ている。また、普段からやや便秘気味で、眠りは浅い。肩こり、頭痛、足の冷えあり。天気が悪いと頭痛は悪化する。生理は順調だが、時々生理痛がひどいときがあり、その際は鎮痛剤を飲む。また、甘いものが大好きで、お饅頭やおはぎなどをよく食べると言う。

漢方薬の桂枝茯苓丸加大黄(けいしぶくりょうがんかだいおう)を1ヶ月分処方。飲み始めると、毎日大便が出るようになったという。さらに1ヶ月分を処方。肩こりや頭痛が軽減し、舌の裏の血管が見えにくくなっている。さらに1か月分をお出ししたところ、目のゆがみが出なくなったと言う。ただここで漢方を止めるとまた目が悪化すると良くないのでしばらく続けてもらうようにお伝えした。それから約1年、目のゆがみは1度も出ていないとのことだった。そして顔にあった10円玉くらいの大きなシミが取れたとかなり喜んでおられた。現在も漢方薬を服用中。

この方の場合、甘いものが好きと言うことで、瘀血(おけつ:汚れた血液)が溜まり、黄斑変性症の引き金になったと考えられる。舌の裏の紫の血管や顔のシミは典型的な瘀血の症状である。桂枝茯苓丸加大黄は、溜まった瘀血を取り除き、目の病気の進行を遅らせ、自然治癒力が働いて視力の回復に至ったと考えられる。